コンプレックスはたくさんあるけれど、一番直したいと思っているものがある。もう二十年以上の癖になる。それは私の怠惰の象徴で、醜さの証でもある。
高校時代、苦手な先生がいた。几帳面で独自の世界観があり笑いもとれるような人だった。理由はないけれど生理的に受け付けなくて、授業中もずっとしらけた気持ちできいていた。
ある時、教室の一番前の席で授業を受けていたら気付いた。彼も私とおんなじだと。たったそれだけの共通点だけれど、同じ弱さや醜さを持っているのだと嬉しくなった。私だけじゃないと安心したかったのかもしれない。
その発見があったからといって、私は彼と仲良くしようとは思わなかったし、ただ単調に授業をきく毎日を過ごし、卒業した。今はもう名前も忘れてしまったけど、見つけたときの不思議な感動はずっと覚えているのだろう。


ちなみに、つまらないオチとして、数年ぶりに彼の名前をきいたのが、懲戒処分になったというニュースとより詳細な地元の噂だった。